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【セミナー・講演会】ウルグアイ東方共和国農牧水産大臣来日、ビジネスセミナー(2025/6/18@ジェトロ)のポイントを解説

Keynote Speech_Mr.Martin Mercado, vice director of Uruguay 21

日本企業にとって魅力的な5つのポイント

1.政治・経済の安定性と高い信頼性

2.ビジネスのしやすさと充実した優遇策

3.南米における戦略的な物流ハブ機能

4.持続可能性への強いコミットメントと再生可能エネルギー

5.高い生活の質と質の高い人材

基調講演

日系企業の進出分野:

輸送用機器、空調製品・設備、食料、デジタルソリューションなどが挙げられる。

ウルグアイの優位性:

  1. 南米におけるランキング1位:
  • 電子政府ランキング(United Nations, 2024)
  • 民主主義指数(Economist Intelligence Unit, 2024)
  • 法の支配(World Justice Project, 2024)
  • 汚職の少なさ(Transparency International, 2024)
  • 社会流動性(World Economic Forum, 2020)
  • 市民の自由度(Freedom House, 2025)

など、多くの国際指標で南米1位を獲得。

欧州主要国と比較しても高い水準: 民主主義指数ではノルウェー、スウェーデン、アイスランドなどに次ぐ第11位、法の支配ではデンマーク、ノルウェーなどに次ぐ第12位、腐敗認識指数ではデンマーク、フィンランドなどに次ぐ第7位、市民の自由度ではフィンランド、ノルウェーなどに次ぐ第4位と、多くの指標で欧州の先進国と肩を並べる高い評価を得ている。

2. 信用格付け:

ウルグアイは13年間連続(サムライ債)11年間連続(その他)で信用格付けを維持(ウルグアイ経済財務省とJ.P. Morgan Chaseが2025年4月出所)

3. 持続可能性の最前線:

  • 再生可能エネルギー – 電力供給の99%を再生可能エネルギー(水力50%、風力33%、バイオマス13%、太陽光発電3%、地熱発電1%)で賄っており、世界で風力・太陽光発電の導入が第6位にランクされています(REN 21 2024 Report、UTE 2024年1月-12月出所)
  • 環境への配慮 – 80%以上の家畜が自然放牧で育ち、原生林は増加傾向にあり、環境保護法、土壌保護、自然環境保全、廃棄物管理などの取り組みが行われている。

4. ESGパフォーマンス:

Bluebay Asset ManagementとVerisk Maplecroft (2022)によると、ウルグアイはESGにおいて「ベスト」のパフォーマンスを示している。

5. ビジネスのしやすさ:

優遇策: 現地パートナーを必要とせず、自由な為替市場、中央政府による全国統一で簡潔な税制、海外・自国企業への対等な扱い、利益還流の制限なしといった特徴がある。

6. 二国間条約:

日本との間では二国間投資協定(BIT)および租税条約(DTAA)が締結されている。

7. 魅力ある免税制度:

域内流通制度、自由港および自由空港制度、ソフトウェア産業促進法、通商、投資促進法および科学・工業特区法、自由貿易地域法などがあり、所得税等が100%還付・控除される場合がある。

8. 日本との貿易:

  • ウルグアイからの主な輸出品: 牛肉(55%)、食肉類および加工品(28%)、馬肉(12%)5。
  • 日本からの主な輸出品: 乗用車(31%)、電子機器・機械(18%)、医薬品(11%)、精密機器(10%)
  • 日系企業数: 21社が進出している。

9. 観光・生活の質:

  • 生活の質 – Mercerの調査で南米で生活の質が第1位。
  • 観光客 – 年間約400万人の観光客が訪れ、そのうち2,400人から2,700人が日本からの観光客。主な観光地: モンテビデオ、プンタ・デル・エステ、コロニア(ユネスコ世界遺産)、カサプエブロ、オレオツーリズム(ワイナリー巡り)など。ホテル・宿ではIVA消費税が免除される。

JICAの協力

協力の歴史と基本方針:

JICAのウルグアイにおける協力は1970年代後半から本格化し、農業、林業、畜産業を中心に技術協力プロジェクトや開発調査を実施してきた。2000年代には水質管理、再生可能エネルギー、障害者支援等にも分野を拡大。ウルグアイは2018年1月にDAC-ODA受取国リストを卒業したが、同年11月に外務省が「開発途上地域」に指定したため、JICAは2019年から業務継続の方針を決定。格差是正の取り組みや環境・気候変動分野等の支援を通じ、包摂性、持続可能性及び強靭性を兼ね備えた質の高い成長に向けた支援を行っている。

「質の高い成長」に向けた支援の重点課題:

  • 気候変動対策(再生可能エネルギー)
  • 格差是正(インクルーシブ開発)
  • 経済基盤整備(民間セクター開発)

これらの課題に対し、主に研修事業、海外協力隊派遣、フォローアップ協力を通じた協力を展開している。

域内協力・三角協力の推進:

  • ウルグアイが他の中南米諸国に対する域内協力に積極的な姿勢を示していることから、JICAはこれまでの協力成果を活かし、ウルグアイ関係機関と共に三角協力(第三国研修の実施等)を積極的に推進している。
  • 具体的な第三国研修として「灌漑排水システムによる農業生産の推進」(ウルグアイ・パラグアイ・日本)や「医療機材保守管理」(ウルグアイ・ボリビア・日本)などがある。

具体的な協力実績:

  • 気候変動対策 – 太陽光発電や水素エネルギーの利用に関する施設整備、組織・人材の能力強化(例: 太陽光を活用したクリーンエネルギー導入計画、水素エネルギーの利用の推進)
  • 水管理分野 – 河川の汚染対策支援、環境庁等の組織・人材能力強化、有機水銀の分析技術向上(例: 首都圏水質管理強化計画、サンタルシア川流域水質管理、ラプラタ川沿岸部水銀モニタリング/環境対策支援)
  • 民間セクター開発 – 林業分野: 植林、紙パルプ品質改善、林産品加工(例: 林木育種計画、国家造林5ヶ年計画、林産工業開発基本計画)
  • 畜産分野 – 家畜疾病診断技術向上のための能力強化(例: 獣医研究所強化計画、南米南部家畜衛生改善のための人材育成プロジェクト)
  • 新しいビジネスの展開 – 海外投融資: ODA対象国で、インフラ・成長加速化、SDGs・貧困削減、気候変動対策の分野において、開発効果が高く、既存の民間金融機関の出融資では事業成立が困難な案件を支援している。
  • オープンイノベーションチャレンジ「TSUBASA」- 中南米・カリブ地域での事業に取り組む日本のスタートアップ企業を発掘・支援する目的で、SDGs・開発課題達成に資する革新的なアイデア、ビジネスモデル、テクノロジーを有する企業を募集している。支援プログラムやIDB Lab、JICAからの追加資金支援の可能性もある。

ソブリン(国債)格付け

ウルグアイの格付けはBBB+(2025年6月13日時点)であり、中南米諸国のなかではメキシコと並んで最も高い水準にある。

格付けの評価基準:

経済・政治社会基盤: 経済規模・所得水準、安定性と成長力、金融システム、政治体制の安定性、社会経済制度の順守、対外関係リスクなどを評価する。

政策運営:

政策立案・実行力、経済・財政政策の適切性、金融政策の適切性などを評価する。

財政状況・資金調達構造:

政府債務、財政収支、国内資金過不足、内外資金の利用可能性などを評価する。

ウルグアイの格付け推移と直近の見直し:

ウルグアイの格付けは、近隣大国からの負の影響の軽減、経済体質の改善、構造改革の可能性、安定したビジネス環境、海外からの投資の進展などを背景に、段階的に上昇してきた。2025年1月16日に外貨建発行体格付BBB+を維持。

格付け理由:

  • 所得水準が高く、制度・政治面での安定性は中南米地域で際立っている。
  • 経済は堅調な推移が期待できる。
  • 政府は財政ルールを順守した政策運営を続け、政府債務比率の拡大は抑えられている。
  • 対外面で特段の懸念がない。

ウルグアイの評価上の注目点:

  • 所得水準 – 1人当たりGDPは2024年時点で約23,000ドルと、中南米諸国内で高い水準にあり、高い所得水準に裏打ちされた経済の成熟度が経済基盤を支えている。ジニ係数でみた所得格差も他の南米諸国と比べて小さい。
  • ガバナンス評価 – 民主化の度合い、汚職の少なさ、法の支配などの評価は中南米諸国内で最も高い水準にあり、R&IのBBB+の国の中でも突出して良いと評価されている。
  • 経済の長期推移 – アルゼンチンやブラジルといった近隣大国の経済動向の影響を受けるものの、2010年以降、これらの国がマイナス成長となる状況でもプラス成長を維持しており、経済の自立性は高まっている。
  • 財政状況: コロナ禍で悪化した財政収支の改善に努め、中央政府の財政赤字のGDP比は縮小しつつある。中央政府債務のGDP比も低下基調で管理可能な水準に抑えられている。一般政府の財政収支と債務残高のGDP比は、BBBゾーンのソブリン平均より良好。
  • 国際収支: 経常収支は海外への利払い・配当金払いにより第1次所得収支が恒常的に赤字ですが、貿易・サービス収支の黒字がそれを補い、赤字幅は抑えられている。外貨準備高は短期対外債務比と輸入カバーでみて十分な水準を維持している。

今後の注目点:

  • 格付けにプラスとなる要因 – オルシ大統領率いる新政権下で財政規律が維持され、国際経済面での懸念が増す中でも経済が堅調に推移すれば、格付けにプラスに働く。
  • 格付けにネガティブとなる要因 – 経済成長が伸び悩み、政府債務比率の上昇が続くなど、財政見通しが悪化する可能性が強まると、信用力にネガティブとなる可能性がある。

ロジスティクス

地理的な優位性:

メルコスール内において輸出入の玄関口として地理的に優位な位置にあり、効率的な物流ネットワークを通じて南米主要都市と人口集中地へアクセスできる。

モンテビデオ港とカラスコ国際空港:

南米南部で他に類を見ないモンテビデオ市自由港は、ラプラタ川流域で最も水深の深い港。ウルグアイのカラスコ国際空港(MVD)は南北アメリカ大陸で唯一の自由空港。

官民連携と法的枠組み:

INALOG(国立物流研究所)は、政府と民間企業の連携により物流業界の促進と発展を目的とした公的機関。明確なルールにより信頼性、透明性、安定性が確保されている。

インフラ整備と人材:

港湾、空港、その他物流インフラが整備され、南米の主要都市とつながる陸路・水路の安定した交通網がある。また、確立した信頼ある企業、先端技術・機材を活用し、優秀で対応能力のある人材がいる。

法整備によるロジスティクス促進策:

  • 自由港・自由空港制度 – 外国からウルグアイに入るすべての商品や財は、通関や輸入に課せられる関税が免除される。再輸出される貨物はウルグアイ国内での課税対象にならない。貨物は最大5年間(延長可能)保管でき、一時保管、加工、再輸出が可能。
  • 民間保税倉庫 – 貨物が通関料や関税を支払うことなく保管され、国内流通または再輸出されるまで留め置かれる税関管理下の民間倉庫です29。保管期間は24ヶ月まで(延長不可)。

フリーゾーン(Zona Franca):

入居企業は、域内での活動に対してすべての現行および将来制定されるであろう税が免除される。ウルグアイ政府は免税措置、特典、および権利を保証する。

周辺国および世界市場との繋がり:

過去30年間で、海運、河川、航空、陸上輸送の強化を通じて、周辺国および世界の主要市場との繋がりを強化。モンテビデオ港へのコンテナ海上輸送航路は、メキシコ湾、アメリカ大西洋岸、地中海、北欧、極東と直行便で繋がっている。

鉄道網の近代化:

ウルグアイの鉄道網は総延長2,957kmで、現在1,355kmが運行中。国際標準軌間を採用し、鉄道網はすべてモンテビデオ港に集約されている。

中央鉄道事業計画:

官民連携(PPP)で15年間の計画であり、モンテビデオ港の物流効率を上げ、マルチモーダルターミナルの確立を目指しています3132。273kmの区間を設計・資金調達・建設・メンテナンスし、2024年8月より運行中です31。これにより、鉄道網の近代化、運用効率化、質の向上、周辺地域での物流能力強化、南米南部の物流ハブ確立、国内産業競争力強化などが期待される。