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5つの質問で迫る|南米ビジネス最前線から日本企業へのヒント(1)

「物流は、人の心を運ぶ仕事」─

TRANS GLOBAL LOGISTICS JAPAN

内田久美子|Kumiko Uchida 取締役インタビュー

【1】原点は、めんたいこを抱えて飛び込んだ父の挑戦

Q. トランスグローバル・ロジスティックス・ジャパン株式会社の創業ストーリーをお聞かせください。

35年前、父が立ち上げた小さな輸送会社が始まりです。当時、大手が手をつけていなかった南米・アフリカ市場をターゲットに、ナイジェリアやコロンビアへ英語も話せずアポも取らずに飛び込み営業していました。
めんたいこなどの日本食を手土産に日系企業を訪問し、駐在員の方々の心を掴みました。特に印象的だったのが、ナイジェリアでのエピソードです。福利厚生として日本食を届ける定期便の依頼を受けたものの、食品が無事通関できるかは未知数。そこでまず10箱のテスト輸送を実施。瓶詰めの商品をひとつひとつ丁寧に包み、現地代理店との連携で無事配送を成功させました。
その後、口コミで別の大手企業との取引も広がり、「丁寧さと信頼」が弊社の礎となりました。

【2】南米との出会いが教えてくれた「楽しむ」という価値観

Q. 南米に惹かれるようになったきっかけは何でしたか?

大学時代にカナダへ留学した際、メキシコ人のクラスメートに出会ったことが転機でした。規律を重視していた私とは対照的に、彼女は人との時間や日常の楽しさを大切にしていたのです。「この価値観の背景にはどんな文化があるのだろう」と興味を持ち、スペイン語を学び始め、実際にメキシコへも渡航しました。
現地で体験した「人とのつながりを楽しむ文化」は、私の人生観を大きく変えました。今も仕事の中で、単なる効率ではなく「信頼を育むこと」が最も重要だと考えています。

【3】ニッチ市場を狙う、“断らない”物流会社

Q. 南米とのビジネスで、どのような戦略を取られているのですか?

大手企業と同じ土俵で戦っても勝てないと自覚しています。だからこそ、弊社は大手が手を出しにくい「ニッチな分野」に特化し、特に南米市場に強いフォワーダーとして成長してきました。

ブラジルが全体の7割、次にメキシコ、アルゼンチン、コロンビアなど。主に新品・中古の建設機械などのBtoB輸送が主力です。南米への輸出が9割を占めていますが、特殊貨物や食品にも対応しています。

価格競争ではなく、「何でも断らずにやってくれる会社」として手続きやフォロー体制の質で勝負しています。長期的な信頼関係を前提に、お客様と伴走するスタイルを大切にしています。

【4】“信頼”でつなぐ、12カ国のネットワーク

Q. 南米12カ国との代理店ネットワークをどう築いてきたのですか?

韓国人の友人の紹介で参加した南米系の国際ネットワークには現在250社が加盟しています。年会費は高額ですが、保険機能やトラブル通報システムも備え、信頼性の高いネットワークです。総会では、50代・60代でも夜通し踊り、名刺交換し、3日間で一気に関係を築きます。

このネットワークで日本からの参加者は今のところ私一人。他の日本企業との違いとして、「決まりきった対応しかしない」との声も多く聞きます。弊社は「断らない」「即レス対応」を信条に、南米12カ国すべての代理店と丁寧な関係性を築いてきました。

物流は時差のある南米とのリアルタイム対応が不可欠。即応できる日本人こそ活躍できる余地が大きいと感じています。

【5】物流は「文化をつなぐ」インフラ──若者に伝えたい想い

Q. 今後の展望、そして伝えたいメッセージがあればお願いします。

今、最も力を入れたいのは若者への啓蒙活動です。中高生に向けて「物流とは何か」を伝えたい。トランプ政権時の関税問題や、コロナ禍で物流が完全に止まった現実。こうした生きた事例を、リアルな「社会の仕組み」として知ってもらいたいんです。

私たちの仕事は、ただモノを運ぶだけではありません。ときには旅行プランを組んだり、現地事情の相談を受けたり、いわば「ニッポンの便利屋」です。

この仕事を「天職」と思えるのは、お客様が「日本がもっと好きになった」と言ってくれる瞬間があるから。物流は人と人、文化と文化をつなぐ仕事。だからこそ、もっと多くの若者にこの面白さを知ってほしいと思っています。

取材を終えて

KOBA

6月にジェトロで開催された「ウルグアイビジネスセミナー」で政府高官に話しかけている堂々とした姿が印象的でした。しかし、今回のインタビュー後、路上でマリオカートに乗った海外旅行客たちに無邪気に手を振る姿を見て、異なる一面を発見。政府高官と対等に渡り合うビジネスパーソンの顔と、見知らぬ外国人に自然な笑顔で手を振る人間味。それこそが、長年にわたって南米の人々に信頼を得ている秘訣なんだなと。

CARLOS

会社の成り立ちをうかがい、創業者さまの足で稼ぐ営業スタイルには感銘を受けました。 思えば、仕事がつながるときって人が繋がっていてこそという基本的なことに気付かされました。そしてやはり、 南米人に好かれる人柄も大事ですね。

会社について

TRANS GLOBAL LOGISTICS JAPAN Ltd.
Tel : 03-5643-5001 Fax : 03-5641-9501
e-mail : kumiko_uchida@tglogistics.jp
Website : https://www.tglogistics.jp/

🏢 概要

  • 設立:2000年11月28日、資本金4,000万円
  • 代表者:内田龍止(Uchida Tatsuru)
  • 本社所在地:東京都中央区日本橋蛎殻町1296東急ビル6F

🌐 主な事業内容

  • 国際貨物輸送(海・空)及び通関サービス
  • ドア・ツー・ドア輸送対応
  • LCL(少量)~FCL(整箱)輸送、冷蔵・冷凍貨物、特殊貨物など多様な輸送形態に対応可能
  • ATAカルネによる一時輸出入サポートなど、専門性の高いサービスも提供

⏲ 強み・特色

  • 365日24時間体制で貨物の監視と報告を実施し、夜間でも対応可能な柔軟体制
  • カスタマイズ可能な物流設計(輸送・保管・梱包など)で企業のコストや工程ニーズに対応
  • 中南米・カリブ海地域・アフリカ・ミクロネシア等、ニッチなエリアの輸送を得意とする。
  • 日本全国・世界各国へ「ハンドキャリー」輸送を取り扱っている。