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Case 2 新たな交流を育む場と未来を作る

南米秋田県人会担い手育成事業業務

発注者:秋田県企画振興部国際課

期 間:2023~2024

内 容:秋田リモート文化塾の開催。「竿燈まつり」を対象行事とし、歴史、技法、お囃子(笛、太鼓)等について、実技指導も取り入れるなど、「竿燈まつり」を深く学び、魅力を体感できるオンライン講座を3回。南米秋田県人会若手会員と国際教養大学(AIU)のグループディスカッションを1回実施した。

対象者:南米秋田県人会の若手会員(20~40代)|ブラジル秋田県人会(ブラジル)、アマゾン地域秋田県人会(ブラジル)、在亜秋田千秋会(アルゼンチン)、ピラポ秋田県人会(パラグアイ)

上:Google Sitesを使って参加者に講座情報や教材、成果品などを共有した。

下:事前撮影した動画を各講座に最初と最後に上映して理解を促進・定着させた。時差の都合から夜間実施となるため、参加者の集中力が途切れがちな講座の流れに変化をつける工夫の一つ。

Q1リモート講座は遠い南米との距離を縮めるために有効ですね。

当社は秋田県との事業を2年間継続して請け負っています。同様の取り組みは栃木県でも見られます。2023年に、南米3カ国の県人会に所属する若手会員と栃木県内の高校生によるオンライン交流イベントを企画・運営しました。さらに愛媛県では、地元の伝統工芸である砥部焼の窯元や、デザイン科の学生・教員を対象としたブラジル人デザイナーらによるオンライン連続セミナーを実施。このように、海外と日本の地方をつなぐ多様な文化交流事業を手がけています。

Q2秋田県のこの業務ではテーマは「竿燈まつり」だったということですが、オンラインでその魅力をどのように伝える努力を行いましたか?

本イベントでは、秋田市民俗芸能伝承館(ねぶり流し館)、秋田市竿燈会、上米町一丁目竿燈会、国際教養大学(AIU)竿燈会の皆様にご協力いただきました。竿燈は差し手と囃し方に役割が分かれますが、単にパフォーマンスを披露するだけでなく、この伝統芸能が地元でいかに愛され、受け継がれているかという文化的背景にも焦点を当てました。

事業の成功要因としては、様々な立場と幅広い年齢層の関係者に出演いただけたことが挙げられます。また、事前に多数のインタビューや実演動画を制作・上映することで、オンライン配信特有の時間的・演出的制約を効果的に克服しました。これにより、遠隔地にいる視聴者にも秋田の伝統文化の魅力を十分に伝えることができたと考えています

Q3夜9時からのオンライン講座だったとか。

日本と南米の間には12時間の時差があり、これが交流事業における大きな課題となりました。日本側が午前9時にイベントを開始すると、南米側では学校や仕事から帰宅し、夕食後にようやく参加できる時間帯となります。

また、人間の集中力が約15分間しか持続しないという点も考慮し、プログラムの構成に特に工夫を凝らしました。具体的には、オープニングとクロージングに印象的な映像を配置し、サンバダンサーと和太鼓演奏のコラボレーション映像を挿入するなど、日本と南米の文化融合を視覚的に表現しました。さらに、生配信中に秋田の名物「ババヘラアイス」の屋台を登場させるなどのサプライズ要素も盛り込み、長時間のオンラインイベントでも参加者が飽きることなく楽しめる演出を実現しました。

Q4講座4回目の最終回は大いに盛り上がったようですね。

日本の祭りや伝統芸能は、若い世代への継承が進むとともに、海外へも広がりを見せています。最終回のテーマは、このように新たな変容を遂げる日本のお祭りの未来について考察することでした。

ゲストには秋田県湯沢市出身のお祭りロック・バンド『アラゲホンジ』リーダー、斎藤真文さんをお招きし、現代民謡の創作活動や新しい祭りの場の創出に関する取り組みについてお話いただきました。

トークセッション後は、Zoomのブレイクアウトルーム機能を活用し、参加者を4グループに分けたワークショップを実施。南米向けに秋田の伝統民謡『ドンパン節』のポルトガル語による替え歌を共同制作しました。最後は全員で新しく生まれた歌を合唱し、日本と南米の文化が融合した感動的なフィナーレとなりました。

Q5この業務をとおして得た気づきなどがあれば教えてください。

本事業のキーパーソンである国際教養大学の熊谷嘉隆先生が携わった「秋田民俗芸能アーカイブス」は、貴重な発見となりました。講座内でこのサイトを紹介し、南米県人会の参加者には英語版を実際に閲覧いただきました。

秋田県には国内最多となる16の重要無形民俗文化財が存在し、集落単位でも多様な民俗芸能が伝承されています。しかし、その多くは一般に広く知られておらず、全国で最も高い高齢化率と人口減少率により、継承の危機に直面しています。土崎みなと歴史伝承館で土崎神明社奉賛会と港ばやし保存会の方々にお話を伺った際には、「曳山の作り手がいない」との切実な課題も語られました。

この経験から、民俗芸能の課題解決につながるプロジェクトの構想を検討しています。また、お祭りロックバンド「アラゲホンジ」の南米公演やワークショップの実現も視野に入れています。このように業務を通じた新たな発見が次の展開への扉を開き、それがさらに秋田県と南米の交流促進に還元されていく好循環を生み出すことが重要だと考えています。